フランスの作家サン=テグジュペリの有名な童話「星の王子さま」の中に「見ているのは、人間の外がわだけだ。大切なものは目に見えない。」という子育てに示唆的な文章があります。どうも私たち大人は目に見えるもの、根拠のあるものに評価を与えがちです。
子どもの気持ちを大人の尺度で理解するのはなかなか難しいものです。それよりもこちらの方から寄り添って、こどもの「ありのまま」を認めること、子どもの「ちから」を信じること。そしてあまり困った時にはじっくり見守る勇気と忍耐をもつこと。そんなふうにできたらいいと思いませんか?
なにはともあれ「人生万事塞翁が馬」。保育に正解なんてあるのか。すべてが正解なのか。
『個性』なんていう言葉も月並みなのですが、今言えることは、『その子がその子らしくあるため』の時間と、空間と、仲間と、そして先生がいる環境でありたいと考えています。
その子のもつ「そのまんま」を大切にしたいと日々の保育に取り組んでいます。が、これがやはり難しい。それにはどうすれば?
作家レイチェル・カーソンはその著書「センス・オブ・ワンダー」の中で『知ることは感じることの半分も重要でない。』と言っています。「知る」ことは難しくても「共感しようとする」ことならできそうです。「教育」は「共育」。「その子のそばにいてあげる。」「その子の気持ちに寄り添ってあげる。」日々のその繰り返しを大切にできる幼稚園を目指しています。
子どもの元気を計測するバロメーターが「素足」であるような気がします。
春や夏ならこちらが見ていても気持ち良さそうなのですが、冬でも雨の日でもそんな子が少なくなくて、そのエネルギーには驚かされます。「大地をしっかり踏みしめる」。そんなことができる逞しい子どもに育ってほしいと願っています。廊下や教室の床もナラや桜の無垢材なので素足が気持ちいいのかな。通園用の草履(イグサ)も販売しています。
運動会、発表会、音楽会など様々な行事、イベントを通して子どもたちは時に目を見張る飛躍を見せてくれます。保護者の方と共にそんなお子様の成長を確認しあえることは私達の大きな喜びでもあります。
ただ、もうひとつ私達が大切にしているのは素朴で平凡な子ども達の普段の生活です。
友達と手をつなぐ、一緒にお弁当を食べる、泥だんごを作る、三輪車に乗る、アスレチックで遊ぶ、ケンカして泣く、仲良くして笑う、そんな何気ない子ども同士の関わり、そしていたずらをしたらしかられる、悲しいときには抱っこしてもらえる大好きな先生との関わり、この二つが土台にあるからこそ子どもたちは輝くのだと思います。自慢の行事も沢山ありますが、特別でない普段の日常生活も大切にしたいと思っています。